ふたりの芸術家 「生と芸術」を見つめて激動の時代を生きたドイツ人
ヴァルター・シュピース
ミース・ファン・デル・ローエ
◆ヴァルター・シュピース[1895-1942] バリ・ルネッサンスの中心
モスクワのドイツ副領事であった父とドイツ貴族の母の子として生まれ、
裕福で芸術に恵まれた家庭に育つ。
幼い頃からピアノ、絵画を習い、15歳でドレスデンのギムナジウムに入学。
1914年 帰省中にモスクワで敵国人として捕まり、ウラルへ送還される。
タタールの民族文化を知り、
プリミティブな生活に感動する。
1917年 モスクワに帰還。ゴーリキーの紹介でオペラの舞台美術を手がける。
アンリ・ルソーの絵画に強い衝撃を受ける。
*アンリ・ルソー[1844-1910] 生涯、自国を出ず、博覧会で熱帯を体験していた。
1918年 父の死去後、ドレスデン郊外の芸術家コロニーで絵画や舞踊で活動。
1920年 ベルリンへ。サイレント映画の制作スタッフとして活躍。
1923年 アムステルダム市立美術館で個展。
アムステルダムの王立植民地博物館で、ジャワやバリの芸術に触れて感銘を受け、
すぐにジャワへ渡る。ジャワ音楽の記譜方法を考案する。
アムステルダム王立博物館 1864年に植民地博物館としてスタートし、
植民地研究所となる。
*ガムラン音楽 「ガムラン」は叩くという意味。
1925年 バリに渡り、トランスを伴う儀礼に関心を深める。
*バリはイスラム教国インドネシアの中で唯一のヒンドゥー教が勢力をもつ地域。
アニミズムの要素が強い。
「アガマ・ヒンドゥー」善と悪の神、光と闇。
ライアル・ワトソン『アースワークス』コモドドラゴンを例に、爬虫類的な脳に着目。
ドラゴン退治とは、上層意識が、最古層の飲み込まれてしまうことを恐れて闘うこと。
秘められたドラゴンの解放へ。
*バリの観光化
オランダ政府は、バリを、ジャワで失われたヒンドゥー文化を生きた形で残す
ミュージアムと位置づけ、
楽園としてのイメージを培う。1920-30年代は、
ヨーロッパから多くの観光客、研究者、芸術家が訪れた。
シュピースは、バリ文化のメッセンジャーとなる。
1931年 ヴィクター・フォン・ブレッセン監督『悪魔の島』の制作に協力し、
魔女ランダの呪いを払拭する
儀礼として「ケチャ」を演出する。
1932年 バリを訪れたチャップリンと交流。
1938年 オランダ植民地政府に風紀を乱したかどで拘束、投獄される。
獄中で絵画を描き続ける。
スラバヤ刑務所から解放される。
1940年 ナチスのオランダ侵攻により、敵国人として逮捕、拘留される。
1942年 収容者の輸送船でセイロンに向かう途中、日本軍の爆撃で死去。
この船の慰霊碑はハンブルク港にある。
◆ミース・ファン・デル・ローエ[1886-1963]
*バウ・ハウス 1919年ドイツのワイマールに設立された学校
工業製品のデザインとしての美術の確立を目指す
パウル・クレー、カンディンスキー、ヨハネス・イッテン、ミースらが教鞭をとる
*TBS「世界遺産」
チェコ「トゥーゲントハット邸」1930年
チェコのブルノにある近代建築の住宅
◆参考文献
伊藤俊治『バリ島芸術をつくった男』平凡社新書
ネルディンガー『ナチス時代のバウハウス・モデルネ』大学教育出版
クラウディア・デランク『ドイツにおける<日本=像>』思文閣出版
◆前回の御感想
◇Museumというシステム
・本が焼き払われるという話は、『ワンピース』で使われていました。[数名]
・私は司書課程を取っているので、博物館の話も司書課程の授業で聴きかじったことがあって、興味深かったです。
・博物館という大きなくくりでも、図書館・美術館など、それぞれの役割を再認識できた気がします。ユダヤ博物館は実際に行きました。言葉があまり分からなくても、そして子供でも楽しんだり(といったらいけないかもしれないけれど)分かったりするための工夫を感じました。
・ドイツの美術館は大きくて、最初は感動しました。しかし、美術館めぐりをしているうちに、どれも同じに見えてきて、疲れてしまいました。日本より数も多く、美しく、真ん中に椅子があるなど、ドイツの美術館は素晴らしいと思いました。
・私は博物館や美術館に行くのが好きで、この間は東京新美術館に行ってきました。そこで疑問に思ったのは、カメラについて何の注意書きがなかったことです。なので、撮影していいのか、いけないのか分からず、結局、見るだけにしました。ドイツではフラッシュなしなら、いくらでも撮って良かったのに。残念でした。
・ユダヤ博物館が印象的でした。顔の形のものが床一面に敷きつめられていたり、倒れてくるような柱だったり。少しでも多くの人に分かりやすく示したかったのではないかと思います。ユダヤに関しては、モーゼやホロコーストなど、いろんな切り口があるので興味深いです。
・ユダヤ博物館には、ぜひ行ってみたいです。メンタルな面に響く博物館だと思います。私は外国の美術館めぐりをするのが好きで、有名どころはけっこう制覇してます。中でも、やはりバチカン・ウフィッツィは良いですね。大英博物館は大きすぎて疲れてしまうので、無難にナショナルギャラリーとかも好きですが。
・ドレスデンに短期留学に行った時、緑の天井を見ました。あの素晴らしさは言葉で表現できません。ドレスデンには他にも、アルテマイスターやツヴィンガー宮殿、ゼンパーオーパー等など、歩いていける距離に名所が集中していて、一度は行くべき街だと思います。
・ドイツ語のTV講座で、あのようなコーナーがあるとは知りませんでした。見てみようと思います。ユダヤ博物館の建築物は、本当によくできているなと思いました。行ってみたいと思います。